
【イベントレポート】コミュニティ活用で広がるビジネスの可能性
イベントやセミナー、コミュニティを中心としたマーケティングが新たな潮流として注目を集める中、イベント・コミュニティサービスである「ピーティックス」は、マーケティング業界のプロフェッショナルが集い、現代の激動するマーケティング業界における課題に対する知見や戦略を共有するイベントシリーズ「Peatix Marketing Terrace (ピーティックス マーケティングテラス)」を定期開催しています。
vol.10のゲストは、株式会社エールコネクト 代表取締役の宮本 昌尚(みやもと まさなお)氏。
スタートアップや新規事業のマーケティング支援において豊富な経験を持つ宮本氏に、スタートアップや小規模マーケチームの成長戦略についてや、コミュニティマーケティングの重要性、そしてAIを活用したマーケティング手法について、具体的な事例を交えながらお話しいただきました。
ユーザーとのエンゲージメントを深めたいと考えているマーケティング担当者や、新しいデジタル技術を活用した効果的な施策に興味のある方は、ぜひ見逃し配信をご覧ください。
■ 開催日:2025年1月30日(木)19時~20時
■ 登壇者:
宮本 昌尚 氏 [株式会社エールコネクト 代表取締役]

スタートアップの思いを文化に変える戦略マーケターTEAM、株式会社エールコネクト代表取締役
DeNA子会社でマーケティング責任者を経験した後に、独立。
日本マーケティング協会(大阪支部)でコミュニティマーケティングの講師を3年務めるなど、講演経験多数。
キャリアとしては、アクセンチュア→トライバルメディアハウス→DeNA
トライバルメディアハウス時代には、SNS黎明期からソーシャルメディアに関わり、共著で「Facebookマーケティング戦略(翔泳社)」、「ソーシャルメディア白書2012(翔泳社)」を執筆。
SNS、コミュニティ活用からマーケティング業界に入ったため、顧客理解やファンづくりを活かしつつ、マーケティングを戦略から実行まで経験している。

コミュニティマーケティングの本質は「文化作り」にある
ピーティックス 藤田(以下 藤田):
コミュニティマーケティングは「やった方がいいよね」という声をよく聞くようになりましたよね。その重要性は、どういうところにあるのでしょうか?
株式会社エールコネクト 宮本さん(以下 宮本さん):
僕は、最終的には「文化作り」だと思っています。これはコミュニティマーケティングでしかできないし、やるべきことだと考えています。結構よく誤解されるのは、「ファンができる=売り上げが上がる」という考えになりがちなことです。
研究結果などでも言われているのは、ファンになったからといって、必ずしもたくさん買ってくれるわけではないということ。例えばビールの話でいうと、どんなにキリンビールが好きでも、胃袋の容量は変わらないので、好きになった分だけたくさん飲めるわけではないですよね。
でも、コミュニティを作る価値は別のところにあるんです。例えば、クラフトビールで有名な「よなよなエール」さんは、コミュニティマーケティングを活用して「クラフトビールを飲む文化」を広めていますよね。
もしコミュニティがなかったら、「クラフトビールが流行ってるらしいけど、自分には関係ないな」で終わってしまうかもしれない。でも、身近な誰かが「クラフトビールって面白いよ! ワインみたいに楽しめるんだよ」と話していたら、「ちょっと試してみようかな」と思うきっかけになる。
どんなに広告を打っても、クラフトビールの「面白さ」は伝わりづらい。でも、人は「楽しんでいる人」を見て影響を受ける。1人ひとりのお客さんが楽しんでいる姿を見せることで、次のお客さんが生まれる。そういう「文化作り」は、コミュニティマーケティングでしかできないことだと思います。

理想的なコミュニティマーケティングの戦略設計
ピーティックス 西川(以下 西川):
コミュニティマーケティングに興味はあるけれど、「実際にどう始めればいいのか分からない」と迷っているマーケティング担当者の方も多いと思います。宮本さんにとっての、理想的なコミュニティマーケティングの設計や戦略について教えていただけますか?
宮本さん:
僕が大事だと思っているのは、「いかに小さく始めるか」ということです。
小さく始める方法として、企業がコミュニティマーケティングを始める際には、まずユーザーにインタビューをすることが重要だと考えています。その人が商品をどう使っているのか、どう感じているのかを聞く中で、「このエピソードを他の人にもシェアしたら面白そうだな」と思える瞬間が出てきます。
そうした話が出てきたら、1対1のインタビューで終わらせず、イベントなどで広げていくことができます。なので、まずは1人ひとりのお客さんと直接会って話をすることが大事だと思います。
例えば、僕が個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」でコミュニティを作っていた時は、「飲みに行きましょう」と声をかけ、少人数のユーザーとの関係作りから始めました。
その場で「こういうことをやりたい」というお客さんの声を聞いたり、「こういうテーマでイベントをやったら盛り上がりそうですよね。他のユーザーの意見も聞いてみたくないですか?」と投げかけたりします。あとはそれを実現する場を作ることで、顧客をベースにしたコミュニティを育てていくことができます。
僕自身、コミュニティマーケティングを経験してからマーケティング責任者になりましたが、その経験は今のマーケティング戦略にもすごく活きています。
「お客さんを深く見ておくこと」が重要だとコミュニティから知ることができたので、コミュニティマーケティングの戦略策定においても、マーケティング全体の戦略設計においても大切な考え方だと思っています。

AIの活用とマーケティングへの影響
藤田:
AIが注目を集め、もはや欠かせない存在になっていますよね。マーケティングの文脈において、どのように活用されているのでしょうか?宮本さんご自身の活用事例と、世の中のトレンドをお伺いできればと思います。
宮本さん:
まず、マーケティング業界全体で見ると、AIが最も活用されているのは広告運用の分野ですね。
ここ10年ほど、デジタルマーケターがFacebookやGoogleの広告を運用し、ペルソナを細かく設定したり、運用の工夫をしたりすることで成果を上げる手法が一般的でした。それが最近ではFacebookやGoogleのAIが非常に優秀になり、「予算はこの金額でCPAをこのくらいにして、あとはいい感じに最適化して」と任せる方が、むしろ成果が出るケースが増えてきています。
その結果、これまでマーケターが細かくチューニングしていた作業は減り、広告運用自体も簡単になってきました。AIが自動で最適化してくれるため、マーケティング領域の中でも特にこの分野がすごく進んでいるかなと思います。
僕自身のAI活用については、Udemyで「ChatGPTとの対話で、誰でも作れる”自社の”マーケティング戦略仮説」という講座を開いてます。この講座は、ChatGPTに質問しながら、自社の商品を誰に、どのように訴求すればいいのかを組み立てていくというプログラムです。
なぜこれが可能かというと、ChatGPTにリサーチを任せているからです。例えば、マーケティング戦略を考える際に「同じようなことをやっている企業を教えてください」と聞く。次に、「その企業のターゲット層はどんな人ですか?」と質問して、ペルソナを作成。そのペルソナに向けた訴求をAIと対話しながら作っていく、という流れです。
このようにAIを活用してみると、これまでまったく知らなかった領域についてもイメージがつかめるようになります。
講座はこちら▼
ChatGPTとの対話で、誰でも作れる”自社の”マーケティング戦略仮説 | Udemy
スタートアップや小規模チームのための成長戦略とは?
西川:
スタートアップや小規模のマーケティングチームが成長し、機能していくために必要なチーム設計について、宮本さんの考えをお聞かせいただけますか?
宮本さん:
最初はマーケティングの専任メンバーが1人だけ、というケースも多いですよね。その中で、マーケターが果たすべき役割は何かというと、顧客理解をどこまで深められるかが1番大事だと思います。
例えば、「このサービスをどういう人が使っているのか」を、バイネームで言えるレベルまで把握することが大切です。「山本さんはこういう使い方をしていて、こんな感想を持っている」と具体的に理解している状態ですね。
ただ、マーケティング業界の出身者でも、必ずしも顧客調査を経験しているわけではありません。特に広告運用をしていた方の中には、代理店で「このペルソナがターゲットです」と決められた情報をもとに運用してきたケースも多いです。
僕自身も、SNSマーケティングをしていた頃は、お客さんのことを深く見ずに、「この投稿が人気かどうか」だけで判断していたこともありました。でも、それでは事業を成長させる上で1番大事なピースが抜けていると感じます。
だからこそ、まずは顧客をバイネームで理解できる人をチームに作ることが大事です。その人や、その知見を中心に、「お客さんのためのサービスをどう作るのか?」を考えること。これが、マーケティングチームの設計において重要なポイントだと思います。
「Peatix Marketing Terrace」は、マーケティング業界のプロフェッショナルが集い、現代の激動するマーケティング業界における課題に対する知見や戦略を共有するイベントシリーズです。マーケティング業界に携わる皆様が連携し、新たなアイディアや手法を共有・発展させる場を提供します。
今後のイベント情報は、こちらのグループページでお知らせしていきますので、ぜひフォローをお願いいたします。
vol.10の見逃し配信はこちら▼
vol.11の詳細はこちら▼
ピーティックスは、BtoBリード獲得をサポートするPeatix 法人向けセミナー集客広告サービスを提供しています。
100万人 (※直近1年間) のビジネスセミナー申込者データを活用した独自の集客アプローチにより、低CPAで、多くのリード獲得を支援いたします。