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【前編】「読書会コミュニティの魅力を大解剖! 本好きが集まる秘密やコツを話し合おう」|コミュニティテラス vol.4 イベントレポート

 ピーティックス ( Peatix ) のイベントシリーズ「コミュニティテラス」は、イベントやコミュニティの主催者・関係者が交流できる場所づくりを目指して定期的に開催しています。
 今回のテーマは「読書会」。10年以上にわたり読書会を続けている3名をゲストにお招きしました。
 参加者には、これから読書会をやってみたい方やすでに読書会を開催している方も多かったため、読書会ならではの部分を聞き出すような質問が尽きない回になりました。時間いっぱいまで続いた質疑応答をできるだけ皆さんにお届けするために、今回は前後編でお届けします!

【ゲストプロフィール】

竹田信弥(たけだ・しんや)さん

東京都生まれ。高校時代にネット古書店として双子のライオン堂を開業。2013 年4月に文京区白山でリアル店舗をオープン。2015 年10月に港区赤坂へ移転。読書会を中心にイベントを多数開催。著書に『めんどくさい本屋―100年先まで続ける道 (ミライのパスポ)』(本の種出版)。文芸誌「しししし」発行人兼編集長。『街灯りとしての本屋』(雷鳥社)構成を担当。共著に『これからの本屋』(書誌汽水域)『まだまだ知らない 夢の本屋ガイド』(朝日出版社)など。

▶ピーティックス グループページ 双子のライオン堂

川﨑祐二(かわさき・ゆうじ)さん

2014年からスタートした「みんなの読書会」の主宰者。 毎月1回以上は開催することを心がけ、10年目の読書会。

▶ピーティックス グループページ みんなの読書会

川西克典(かわにし・かつのり)さん

大阪出身。横浜在住。自分が本を読むきっかけづくりのために2014年4月より「ええやん朝活」を立ち上げ。以後、月2回のペースで神保町を中心に様々なテーマ・形式で読書会を開催中。本業は渋谷のIT企業にて会社員、その他では読書会以外に音楽フェスや映画祭の運営にプロボノで携わる。

▶ピーティックス グループページ ええやん!朝活!

【質疑応答】

Q:仕事をしながら読書会の準備もされているそうですが、一日にどれくらい本を読んでいますか。

みんなの読書会 川﨑祐二さん(以下、川﨑):本を読むことが大好きだから、読書会を続けています。一日にどれくらい読んでるのかはわからないですけど、一応年間200冊ぐらい。通勤電車でとか、家に帰って夜落ち着いた時間にとか、みなさんが想像するような時間に読みます。「読書会のために本を読もう」とはあんまり思っていないですね。

ええやん!朝活! 川西克典さん(以下、川西):僕はそもそも読書をしないタイプで、社会人になりたてのころに読書習慣を作るために読書会を始めました。僕の読書会が月2回開催なのは、月に2冊は読みたかったからです(笑)。川﨑さんと真逆なことを言うと、読書会のために読んでいるときがあります! 課題本にまだ読んでないものを設定してしまったばかりに、「この本おもしろくないな、だけど明日が読書会だから読み切るしかない」ってことも(笑)。

双子のライオン堂 竹田信弥さん(以下、竹田):締め切り効果ですね。

川西:そう、締め切り効果ですね、ほんとに。僕は基本は図書館を使うんですよね。図書館は2週間で返さないといけないので、そこも締め切り効果がかかっていて。「この本は明日返却しないといけないし、読書会の本も読まないといけないし」みたいな感じで追い込まれてることもあります(笑)。

竹田:僕は大学が文学部で、毎日いろんなゼミ室で本の話をしていたようなことを、お店でもどんどんやるようになりました。以前は生活時間に余裕があって、300ページくらいある本の読書会を月に10冊やっていて、課題本以外も含めれば年間300冊以上は読んでいたんですが、今は100冊くらい。自分のライフスタイルに合わせて変えている感じはありますね。コロナ禍に課題本を分割して読む読書会を発明したというか。これが非常に良いんです。

ーー本を分割して読む?

竹田:先ほど挙げた『百年の孤独』はすごく分厚い本ですが、各章100ページもないんですよ。「1ヶ月にこれぐらいなら読めるかな」みたいな量。月に1回一章ずつ、大体2年かけてゆっくり読んでいくと、非常に芳醇な読書体験になる。今はカフカの『城』も連続でやっていて、これも一章大体30ページなんですね。でも僕はそういう読書会を月10タイトルくらいやってるんで、結局よくわかんないことにはなってるんですけど(笑)。

Q:読書会の課題本はどうやって決めるんですか。

川西:本の名前は知ってるし、いい本なんだろうなって思ってるのに、まだ読んでない本。有名な本はいつでも読めそうでどんどん後回しになるので、読書会で人を巻き込みながら読んじゃえっていう感じです。カフカの『変身』とか、吉本ばななの『キッチン』も、タイトルを聞いたことはあるけどどんな話か知らなかったりする。「どの本がおもしろいですか」って参加者に聞いて選んでいます。

川﨑:参加する人たちのことをイメージをするようにしています。本に関心はあるんだけど、課題本を読むのは大変だなっていう方もいらっしゃるので、好きな本を持ってきていい回を作るとか。私は本屋さんで読書会をやるんですけど、その場で購入して読みましょうとか。そういう、本に興味を持つきっかけになるような選び方をさせてもらうことが多いです。

ーー当日、その場で本が決まるんですね。

川﨑:はい。よくドラマにあるシチュエーションで、本屋さんで同じ本を同じタイミングで触ってしまうみたいな(笑)。本屋さんは、本をきっかけにした出会いがあるイメージがあると思います。本屋さんで本のカバーが気にいって、中身は全然知らないまま紹介をされる方もいらっしゃるので、すごく個性が出ますよ。

竹田:僕はとにかく読書会をやらないと死んでしまう体なので(笑)、目についた本の読書会をどんどんやっています。「次回も来てね」っていうプレッシャーを自然とかけるためにも(笑)、参加者と一緒に考えて作っていくのは大事かなと。お客さんが読みたい本を一緒に読んでいくサポートという視点もありますね。

ーー参加してくれる人を巻き込んでいくんですね。
竹田:はい。でも、「読書会は本を読んでないと参加できないんですよね」って言われたりするので、「参加者は聞いてもらうだけでいいです」みたいな『観る読書会』とか、版元の出版社にまだ販売されてない本のゲラとか目次をもらってその場で読んだりする『未読書会』という変わり種も。僕は読書会には無限の可能性があると思ってやってる感じです。

Q:読書会ならではの、参加したくなるように促すコツはありますか。

竹田:外から見ると何が行われているかわからないみたいで、初めて参加した人に「読書会ってめちゃくちゃ怖い場所だと思ってた」みたいなことを言われるんですよ(笑)。読書会の写真を出してみたり感想をお店のYouTubeで話すことで、次回に来てもらいやすくする取り組みはしています。読書会をいかにオープンな場所に見せるかは、ちょっと意識してますね。

川﨑:私は場所ですね。竹田さんがおっしゃられたように、読書会って何をやってるのかわからないところがあるので、「コミュニティスペースを借りてやります」だと、私自身も参加者として不安に感じたことがあります。だから私の場合は本屋さんとか出版社とか、美術館でもやったことがあるんですけど、公共の施設とかオープンな場所であれば、安心して参加できますよね。

川西:自分が他の読書会に行くときは、過去のレポートを読んで、「ここはノンフィクションが多めなんだな」とか「ここは海外小説なんだな」とか、これまで紹介されてきた本の傾向を見て、自分と合ってるのかを確かめるんです。同じように「うちの読書会はこんな感じでいろんなジャンルの本を紹介してますよ」みたいなのをしっかりと出すことで参加のハードルを下げる工夫をしています。

ーー論破しに来る人もいそうなイメージです。どういうコミュニケーションをとっていますか。

川西:グラウンドルールを最初に示すことですね。読書会は、本を初めて読んだ人も本のファンも、みんなフラットな状態で自由にそれぞれの意見を言える場です。本に対する批判はあるかもしれないけど、人に対する否定はやめましょうというところを最初にしっかり伝える。それによって暴走しかけている人を止めやすくなります。

川﨑:ちょっと身も蓋もない話をすると、有料イベントにすることですね。無料にすることで誰もが参加しやすくなるんですけど、敷居が低いと本に対する気持ちの度合いとか、トーンもちょっと変わるんじゃないかなと思っていて。なので、有料にすると参加したい思いがより強くある人たちが来てくれるので、誰かを論破したい方よりも、その場を楽しみたい方がいらっしゃるんじゃないかなと思って運営してます。

竹田:相棒をつけるのは大事かもしれないですね。基本は誰かと一緒にやっていて、僕のサポートをしてもらったり、逆に友人とか常連さんにリーダーをお願いをして僕がサポートの立場になったりしますね。論破したり迷惑をかけてる方がいれば店主として追い出さなきゃいけないんですけど、その前にクッションとしてもう一人副リーダーがいるといいかなとは思っていて。

 うちのお店ではないですが、相談された例ですと、悲しいかな、男性・女性というのもやっぱりあって。女性が司会をやると違うニュアンスで参加される方もいる。それでちょっと攻撃的になってしまうこともあるみたいなので、事前に信頼できる仲間やお店の人と相互でフォローしたり、してもらったりすることも考えなきゃいけないですね。

Q:ファシリテーションや空気の作り方で意識していることはありますか。

川﨑:読書会に参加する人って、本が好きだったり、もともと課題本を読んでいた方々が多いので、なるべく主催者が表に出ないようにして、その日にできたチームでどういうふうに会話を作ってもらうかということに専念しています。会がおもしろいと参加者さんに話しかけたくなっちゃうんですけど、なるべく禁止(笑)。主催者はトラブルがあったらすぐに飛んでいけるとか、そういう役割。それに、会話に参加してマネージしてファシリテーションしてっていうのは、ちょっと私の能力を超えているので(笑)。

ーー川﨑さんは読書会の中で本の紹介はしないんですか。

川﨑:しないです。専門的な知識がないのに本のことを語り出すのはちょっと違うと思うので、それならばゲストを呼んで、私はあくまでも運営に回るようにしています。

川西:僕はファシリテーションもしますけど、僕は入っていきます。ただ、川﨑さんと同じ考え方で、自分がワイワイしゃべるわけではなく、話を盛り上げてくださる方もいるのでそういった方にうまくバトンを渡しながら、あんまり話せてない人がいたらそこに話を振るとか。基本的にはあんまり自分の色は出さず、舵取りをできればって思ってます。

ーー各チームにファシリテーターがいるんですか。いなくても自然にできるんでしょうか。

川﨑:本当はファシリテーターがグループに1人ぐらいいた方がきれいに回るとは思うんですが、会の時間が30分とか1時間なら、いなくてもまあまあうまく回せてきたのかなと思います。

川西:読書会って話を聞いているだけでも楽しいから、「自分は本を紹介できなくても仕方ないか」みたいなところもありますし。その日の参加人数によって自分の紹介する時間があるのかないのかも調整できますよ。読書会の主催者同士でよく言うのは、「本の紹介をしたいときは他の読書会に行くよね」って(笑)。自分が本当に読書会を楽しむなら、他の読書会に行ってしっかり本を紹介することになっちゃうかな。

竹田:そうか……。僕はけっこう本に関してしゃべっちゃう方ですね(笑)。自分も参加者として楽しむようにしています。
 その分、時間配分を気にしてますね。聞く専門の人はそれでいいんですけど、しゃべりすぎちゃう人ってどうしてもいるし、しゃべっていない人にも話を振るとかはファシリテーションのセンスですね。読書会は対面のイベントやトークショーと違って、一方が何か与えるわけではなくて全員で作り上げていく感じがあります。僕たち主催が場を作るんだけど、参加してくれた人たちが主役ということは意識してるかもしれないですね。

後半は集客方法やチケットの価格設定を中心にしたお話です。ぜひ【後編】もご覧ください!

【概要】

コミュニティテラスは、主催者どうしで知識や情報を共有することができるので、ひとりで考えるよりもたくさんの問題解決方法やおもしろいアイデアの芽が見つかります。現在コミュニティやイベントを主催していなくても、テーマにピンときたらお越しください。お茶やお酒を飲みながら、心地よい対話を楽しみましょう。
 
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