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ユーザベース NewsPicks事業執行役員 CRO 酒居潤平氏に聞く、マーケティング戦略の変革期の乗り越え方 [Marketing Terrace vol.1_イベントレポート]

イベントやセミナー、コミュニティを中心としたマーケティングが新たな潮流として注目を集める中、イベント・コミュニティサービスである「ピーティックス」は、マーケティング業界のプロフェッショナルが集い、現代の激動するマーケティング業界における課題に対する知見や戦略を共有するイベントシリーズ「Peatix Marketing Terrace (ピーティックス マーケティング テラス)」を始めました。

初回ゲストは、株式会社ユーザベース NewsPicks事業執行役員 CRO 酒居潤平氏。

ビジネスを成長させるためにどのようにマーケティング課題に取り組んできたか、そしてコロナ禍を経て、今後のマーケティングの動向をどのように見据えていらっしゃるかなどお話を伺いました。


■ 開催日:2024/3/12 (火) 19:00 - 20:00

■ 登壇者:酒居 潤平氏
[ 株式会社ユーザベース NewsPicks事業執行役員 CRO ]

慶應義塾大学経済学部を卒業後、三菱東京UFJ銀行(現 三菱UFJ銀行)入行。その後、起業、Sansan株式会社勤務を経て、2017年に株式会社FORCASへ参画。2020年1月より株式会社ユーザベースへ転籍し、執行役員(B2B SaaS事業マーケティング&ブランディング担当)に就任。2021年4月よりコーポレートPRを含めSaaS事業CMOに就任。NewsPicks Stage.事業を立ち上げ、事業責任者を兼任。2024年1月より現職。
株式会社ユーザベース
NewsPicks


マーケティングチャネルの多様化

ピーティックス藤田 (以下 藤田):
コロナ禍前はオンライン配信という選択肢はあまりなかったじゃないですか。
そういった、BtoBマーケティング×イベント×コミュニティというところで、ここ最近のトレンドにはどんなものがあるのでしょうか?

ユーザベース酒居さん (以下 酒居さん):
コロナ禍から4年が経ち、オンラインでの活動は一般的になりましたよね。この期間で、いろいろなプラットフォームや配信方法が普及し、チャネルの多様化が進んだと思います。オンラインだけでなく、テレビCM、タクシーや電車内広告など、さまざまな場所でマーケティング活動を行うスタートアップ企業も増えています。

驚いたのは、エレベーターや美容室など、日常生活の中での広告の増加ですね。隙間時間を利用した広告戦略が進んでいて、面白い発明だなと思います。

一方で、チャネルの多様化に伴い、ROI(投資収益率)を厳しく判断したり、マーケティング効果をデータに基づいて分析しようという動きもより増えています。

また、マーケと営業がどのように連携していくかなど、 外に向けたマーケティングの手法の変化だけではなく、組織構成や組織連携などの新しい課題が生まれたりだとか、逆に言うと新しいチャンスが生まれたりしていますね。

顧客に向けて自分たちのメッセージを共有していくというマーケティングの本質は変わっておらず、手段が広がった分、強度が求められるようになってきたのだと思います。

マーケティング施策の課題

藤田:
ユーザベースさんはアグレッシブに新しいことに挑戦し、どんどん結果を出してるように見えるのですが、社内の課題感でシェアできることがあれば教えてください。

酒居さん:
課題はいくらでもあります(笑)

例えば集客観点では、弊社のSPEEDA(スピーダ)やFORCAS(フォーカス)などのサービスは、ありとあらゆるニーズに対応できるわけではなく、むしろ特定の領域や部門に特化して価値を提供しています。
そのため、ただ多くの人を集めるのではなく、自社サービスの価値を実感でき、課題感に共感してもらえるターゲットを特定して集客することを重視しています。ターゲティングの精度を保ちつつ、新しいセグメントを探すことの両立は常に課題ですね。

「バイネーム」でのターゲティング

藤田:
このイベントの事前アンケートでもターゲットの設定に迷うとおっしゃっている参加者がいました。ターゲティングに関しては試行錯誤するしかないという感じなんですかね。

酒居さん:
僕らはターゲット企業のことをTier(ティア)企業と定義していて、バイネームで具体的にリストアップしています。さらに、その中でもより優先順位が高い企業をカテゴライズしていて、Tier1、Tier2、Tier3と分けて、 データとしてオペレーションに落とし込んでいます。

カテゴライズの仕方も、業界や従業員規模や売り上げ規模など、さまざまな切り口があると思います。ただ、同じカテゴリの企業の中でも抱えている課題は全然違っていることもあるので、ニーズをきちんと特定してターゲティングすることが重要だと思っています。

また、ターゲットを設定する際は、マーケだけではなく、セールスやカスタマーサクセスなど、リード獲得後のプロセスに関わるチームも巻き込んでやらないと、獲得してもセールスが求めてる層とずれてしまったり、矛盾が生じてしまったりすることがあります。なので、社内では目線を合わせてターゲットを決めることを徹底しています。

藤田:
僕自身の課題でもあるのですが、一度ターゲットを設定してもどんどん変化していくじゃないですか。常に見直していく必要はありつつ、実際に変えていくのは難しいと思うのですが、どういう周期で見直していくかなどは決めているのでしょうか?

酒居さん:
例えば、FORCAS(フォーカス)の立ち上げの際は、 3か月おきにターゲットリストの見直しをしていました。時間的な制約を決めて仮説検証を回し、検証結果を見てリストの入れ替えや追加を行うという感じですね。

また、ターゲットはペルソナで考えるというよりは、実際のお客さんを想定することが多いです。例えば、藤田さんにイベントに来てもらいたいと思ったら、 「藤田さんってどうやったら来てくれるんだろう?」と考えると、より切り込んだアイデアに落とし込みやすくなると思います。

「自分だったら行動するか」という観点

視聴者の方から質問:
例えば、チャンネル登録が50万人いるYoutuberでも、 販売に直結するようなコンテンツでファンを集めていないと物が売れないっていうことがよくある。数字でごまかす手法から脱却したい。

酒居さん:
マーケティングでいうと、リードをたくさん獲得すれば比例して売り上げが上がるかといったら、違うじゃないですか。 

例えばイベントでも、人が来ないとか、来てくれても商談につながらないとか、いろんなお悩みがあると思うんですけど、「自分だったら行こうと思うかな」という観点がすごく大切なんじゃないかなと思います。

よく議論に上がるのが、KPI設計です。どうしてもリード数などで設定してしまいがちですが、 表層的な数字だけで見ると目的がずれてしまうことがあるので、フェーズに応じて考えてみると良いと思います。

集客のコツは、「For You(フォーユー)」で考えること

藤田:
これも参加者の方から課題として出ていたんですが、BtoBのイベントを開催する時、どのように集客すれば良いのでしょうか?

酒居さん:
イベントって、あくまで自分たちの存在やメッセージをいかに伝えていくかじゃないですか。大切なのは、そもそも何を伝えるかを考えきれてるかだと思うんですよね。当たり前のことですが、案外見落としがちだと思っています。

例えば、自社の製品を提供する見込み顧客を集めたいと思って製品の活用セミナーを企画したとしても、全く知らない製品の話を聞きに足を運ぶかというと、難しいと思うんですよね。 

そういう時はまず、どんな企画だったらターゲットとする人が参加したくなるかを考えるようにしていて、この考え方を僕らは「For You」と呼んでいます。

自社の製品を届けたいと思えば思うほど、製品を強く打ち出したり、自社のロゴを並べたりと、独りよがりな「For Me(フォーミー)」になりがちですよね。

相手が欲しいと思ってるようなものや行動変容に繋がるようなものを企画できれば、あとはどうその人に伝えるかということだけなので、まずは「For You」で考えることが大切だと思います。

ターゲットを狭めないと、結果的に誰にも刺さらない

視聴者の方から質問:
リーチしてる顧客をペルソナに捉える点について、同質な顧客の誘致拡大に適している方法だと感じた一方、より幅広い方に視聴していただくために講じている打ち手などあれば教えていただきたいです。

酒居さん:
僕らはターゲット領域をかなり限定しているので、 全体的には狭いところになるんです。ターゲットを絞ることで、効果性が下がったり集客が減ったりするのではないかと考えられがちですが、案外そんなことはなくて、ターゲットを絞ることで逆にエンゲージメントの高い層にリーチできるんですよね。

とにかく広く打ち出そうだとか、ターゲットを狭めずに行こうとすると、結果的には誰にも刺さらないものになることもあります。母集団が大きいからたくさん取れるかというとそういうわけではないと思います。

また、徹底的に「For You」で考えて企画するのがそもそも重要だとは思いますが、その後の届け方としてはいろいろなチャネルを使って検証を進めています。

それこそピーティックスさんにもお世話になっていますし、 自社のメルマガ配信、SNS広告、専門領域の業界誌などを活用しています。特に広告バナーなどはコンテンツを届ける時の最初の入り口になるので、 どういう風に見せていくか、興味を持ってもらえる打ち出しになっているか、などはすごく大切にしてるところですね。



「Peatix Marketing Terrace」は、マーケティング業界のプロフェッショナルが集い、現代の激動するマーケティング業界における課題に対する知見や戦略を共有するイベントシリーズです。マーケティング業界に携わる皆様が連携し、新たなアイディアや手法を共有・発展させる場を提供します。

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