社会人になってからでもソフトウェアエンジニアになれる?どんな時代でもなりたい自分でいるために大切なこと [KIKKAKE for Parents#6 イベントレポート]
プログラミング教育ってなに?どんどんIT化されていく世の中で、これからの子どもたちの学びと、その先の仕事はどうなるの?
そんな疑問や悩みを持つ保護者の皆さまに、女の子にプログラミングを始めるキッカケを提供するKIKKAKE実行委員会とピーティックスは、プログラミング教育について知り、考えるための2日間・全6セッションのオンラインイベント「KIKKAKE for Parents」を開催しました。
このセッションでは、社会人になってからソフトウェアエンジニアへジョブチェンジをかなえたPeatix Japanの寺田 祥絵(てらだ さちえ)さんをゲストにお呼びして、ジョブチェンジのきっかけやエンジニアになる前と後での変化、そして変化の激しい今の時代だからこそ大切な、自分をアップデートしていくマインドやモチベーションの保ち方についてお話を聞きました。
ピーティックスでのお仕事の様子
ピーティックスでは、フロントエンドエンジニアチームに所属している寺田 祥絵さん。
「フロントエンドエンジニア」とは具体的にどんな役割を担っているのでしょうか?
フロントエンドとは、Webアプリケーションにおいて、画面に情報を表示したり、入力画面での操作を受けつけたりと、直接ユーザーの目に触れる部分のことを指します。Webアプリケーションを作っている人には、フロントエンドエンジニア以外にも、バックエンドエンジニアやデザイナーがいます。
家の建築に例えると、デザイナーはデザインや設計図の作成を担当し、バックエンドエンジニアが用意した材料を使って、フロンドエンドエンジニアが組み立てや配置を行います。
祥絵さんは、ユーザーの目に触れる文面の編集や、万が一バグが起こった際には、原因の調査・修正を行っています。また、現在はアプリケーション内の仕様ツールの統一をメインに担当しているとのことです。
女性エンジニアとして働くってどんな感じ?
ピーティックスには、国籍や第一言語などのバックグラウンドが多様なスタッフが集まっていて、日本、アメリカ、シンガポール、フィリピンと住んでいる国もさまざまです。スタッフは世界各地からリモート環境で働いています。
また、IT企業は男性が多いというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、ピーティックスでは実は約半数以上のメンバーが女性です!
日本国内の女性エンジニアの数としては、まだまだ多くないのが現状ですが、ピーティックスでは、海外の女性エンジニアが活躍していることや、国籍や居住国にかかわらず分け隔てなく仕事ができる環境が整っていることもあり、女性エンジニアだからといって不安や孤独を感じたことはないと祥絵さんは話します。
スタッフの居住国や第一言語が多様なピーティックスでは、基本的に社内の公用語として英語を使用しています。セッション内では、祥絵さんがミーティング前にチームメンバーとコミュニケーションをとっている様子やフィリピンに住むチームメンバーのジョリーナから届いた、祥絵さんの働きぶりについてのコメントを紹介しました。
また、グローバルな環境で働いて良かったと感じたこととして、メンバー間で時間を効率的に使えるという点があります。コードを書いたあとでエンジニアの間で行われる確認作業「コードレビュー」をしてもらう際、別のタイムゾーンにいるチームメンバーにコードレビューを依頼することで、翌日、自分が作業を始める頃にはレビューが済んでおり、作業を次のステップへスムーズに進めることができるそうです。
さらに、英語が得意な祥絵さんは、コードの書き方について調べる際、英語のドキュメントの数が日本語のドキュメントよりも数が多いことも良い点だとあげており、チーム間での情報共有にも英語のドキュメントを活用しているようです。
社会人かつ未経験からソフトウェアエンジニアに!?
前職では、旅行系の部署でデータ入力のお仕事をしていた祥絵さん。それまではパソコンで作業した経験がほとんどなかったそうです。前職で元々使っていたWebサイトを刷新しようというプロジェクトが発足し、そのプロジェクトに参加したことがプログラミングに触れるきっかけになりました。そこから独学で調べてコードを書いてを繰り返してプログラミングを学んだそうです。
最初は手探り状態だったと語る祥絵さんですが、自ら調べてトライアンドエラーを繰り返したことでプログラミングを体で覚えることにつながったと話します。また、最初はうまくいかずにエラーが続くこともあったようですが、自分で書いたコードでWebサイトが完成していく様子を見ることで、プログラミングの楽しさを実感したそうです。
祥絵さんの場合は、社内のエンジニアやエンジニアとして働く友人など、エンジニアのコミュニティにいる人たちとの関わりがあったこともモチベーションを保ち続けることができた理由でした。
キャリアを形成していく上では、内的動機(自分がやっていて楽しいと感じる自分きっかけの動機)と外的動機(外からくる予期しないチャンスや環境)の両方のタイミングが合ったときに新たな道がひらけます。まさに祥絵さんの場合にもそのようなタイミングがあったようです。
始めはソフトウェアエンジニアの仕事を大変だと感じることも多かった祥絵さんですが、その中でもプログラミングを学ぶことの楽しさを見出していました。独学で基礎を学び、実践を繰り返すうちに、学んでいることが身についていることが感じられるようになり、プログラミングに対して抱いていた不安が小さくなっていたそうです。
また、祥絵さんは、自分に合った方法やペースで学ぶことで、身につくスピードもどんどんと加速していくこと、そして他の人と比べずに学びを進めることが苦手意識を解消することにつながったと話します。
スクールに通わずに独学で学んで良かったことは、決まった型やコードの書き方にとらわれず、柔軟性を持って新しい情報を取り入れたり、応用することができてようになったこと。聞いて教わるのではなく、答えが出るまで自分で調べて、良い例にも悪い例にも目を通しながら理解を進めることで、知見が身につき、自身の成長につながっているそうです。
プログラミングを学ぶ前と後で職業選択の幅はかなり変化したと話す祥絵さんですが、前職では、今の職業とは全く異なる業界でお仕事をしていました。エンジニアとしてさらにステップアップしたいという気持ちと、人と人とのつながりを深めたいという思いから、ピーティックスへの転職を選択肢に入れることができました。
また、パソコンとネット環境さえあれば、どこでも仕事ができるので、自分のライフスタイルやライフステージに合わせて気持ちよく作業ができるようになったと感じているそうです。
ソフトウェアエンジニアは今やどの業界にも求められているポジションです。プログラミングを習得することで、自分の興味や好きなことに近いポジションでお仕事ができるようになり、転職する際には業界や環境に縛られず未来を選択をすることができるようになります。
[Q&A]
視聴者の皆さんから事前にいただいた質問にもお答えしてもらいました。
Q)子どもが自分が想像もつかない職業につこうとするとどうしても不安です。親にどう見守ってもらえると嬉しいですか?
A)エンジニアの職はまだまだ知られていないことばかり。子どもが自分の好きなこととして選んだ職業を保護者が知ろうとする姿勢や、やっていることに興味を見せてくれるという形で寄り添ってもらえると嬉しいし、それがサポートにもつながります。
Q)自分を常にアップデートしていけるような子どもに育ってほしいですが、親はどのようなサポートができるでしょう?Sachieさんが、親御さんやたとえば学校・お友達から良いサポートを受けた記憶や、良い刺激をもらったというエピソードがあれば教えてください。
A)直接的なサポートが難しくても、学んでいる本人への興味を示してあげるだけでも良いサポートになります。そのようなサポートが本人への意欲や自信につながるので、より自分をアップデートしたいという考えが高まっていくのではないでしょうか。
最近はエンジニアのコミュニティやミートアップも増えているので、同じ目標を持っている職種の人と出会い、お互いに刺激を与え、受けることができる場所に行くのがおすすめです。保護者側の不安が大きい場合は、そういったコミュニティにお子さんと一緒に参加することで、親子で職種について一緒に学ぶと良いかもしれません。
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わからないことが多いプログラミングだからこそ、わからないで片付けてしまわず、お子さんに寄り添って知ろうとする姿勢やコミュニケーションがお子さんへのサポートとモチベーションにつながります。
また、便利なツールがたくさんある世の中なので、子どもたちがITツールに対しての苦手意識を持つ前に、保護者の方が触れる機会を提供できると、子どもたちが未来で活躍しやすい土壌を作ってあげられるのではないでしょうか。
祥絵さん、ありがとうございました!
▶︎KIKKAKE(きっかけ)~ガールズプログラミングフェス~とは
「KIKKAKE(きっかけ)~ガールズプログラミングフェス~」は、小学生へのヒアリング調査で、女の子は男の子と比較してプログラミングを学ぶ機会が少ないという課題を受け、女の子にもプログラミングを始めるキッカケを提供したい、という想いで2021年からはじまったプロジェクトです。
趣旨に賛同した全国のプログラミングスクールが、「女の子が楽しめる体験コンテンツ」を扱うプログラミングイベントをオンライン・オフラインで開催しています。
KIKKAKE 2023 ~ガールズプログラミングフェス~
▶︎KIKKAKE for Parents(きっかけ・フォー・ペアレンツ)とは
保護者の方向けに女の子へのIT教育の重要性を伝えることを目的として開催される、保護者向けセミナーシリーズです。
KIKKAKE for Parents