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Event Salon Youth「社会課題を解決する学生コミュニティを運営する人たちと話してみよう!」イベントレポート

イベント・コミュニティを応援するピーティックス ( Peatix ) が、イベント・コミュニティ運営者のために開催しているイベント「イベントサロン」。今回は、ピーティックス学生インターンである元山皐月(もとやま さつき)さんが、「学生がイベントやコミュニティを通して社会にインパクトを与える姿を当たり前にしたい!」という思いのもと、若者のためのイベントサロン「Event Salon Youth」を企画・開催しました。

学生がイベント・コミュニティ活動を行う意義や価値について探求し、イベント・コミュニティ活動をもっと身近に感じてもらえるカルチャーを創るため、学生コミュニティを運営する3名のゲストをお迎えしてお話を伺った本イベントのレポートをお届けします。


■ 開催日:2023/9/30 (土)

■ ゲストスピーカー(五十音順)

飯島瑞稀(いいじま みずき)さん
学生団体「CurioSeeds」代表。皮膚モデルの開発や美肌の研究を行う大学院生(博士課程)。子どもたちに科学を学ぶ楽しさを知ってもらい、好奇心を刺激する学びを提供したいという思いからCurioSeedsを立ち上げる。現在は色々な学校や施設をまわって、理科実験、フィールドワーク、キャリア教育などの様々な学びの場を提供している。
CurioSeedsの取り組みについて

佐伯葉奈(さえき はな)さん
「伝統工芸とらくら」代表。2023年に学生エバンジェリストアワードでグランプリ&富士通賞を受賞。とらくらでは日本文化の継承をテーマに掲げ、毎年「とらくら遠方取材」を開催し、手仕事の美しさと物語を伝える活動を行う。
とらくら公式HP

橋本麻里奈(はしもと まりな)さん
医療系学生コミュニティ「ちいここ」代表。暮らしにおける医療へのニーズを再考し、視点を養うことであらゆる人々がそれぞれの選択に対し自分なりの納得感を得られる社会を目指し、オンラインコミュニティの運営、全国各地で合宿・ツアーを企画・実施。「知らない」を知り、出会い、体験し、共に視野を養う場を創ることをミッションとして活動している。
ちいここ公式HP

■ グラフィックレコード TOMMY-ZAWAさん



活動紹介

伝統工芸とらくら佐伯さん:
「伝統工芸とらくら」は、伝統工芸の魅力を日本の若者に発信している団体です。
後継者不足などの問題を解決するため、3つのビジョンを掲げて活動しています。1つ目は「つながる」。若い世代の中で、工芸が好きな仲間を増やしていく。2つ目に「体験する」。机上の勉強だけじゃなくて、工房さんに取材に行って、 見て、触れて、声を聞く、という機会を提供しています。3つ目に「発信する」。インプットだけではなく、アウトプットとして、SNSで発信したり、記事を作ったりして活動をしています。特に目玉となる活動は「とらくらキャンプ」という作り手の情熱に触れるための合宿で、この3年間で全国38工房を回りました。

また、来年の9月には、飛騨高山の日下部民芸会館でセレクトショップを開催します。多分日本初の試みではないかと思うのですが、 学生の皆さんや若い方にたくさん買ってもらいたいので、年代別に3区分の値段設定をして販売しようと考えています!
私たちがこの活動を行うのは、純粋に工芸品が好きだからです。 そして、好きだからこそ伝統工芸を守って次世代に繋げていくため、現地の人々の息遣いを感じる経験をしながら魅力を発信し、日本中を巻き込んで工芸を継承するということに取り組んでいます。

CurioSeeds飯島さん:
私たちの原点にあるのが、「好奇心の種を撒く」ということです。 子供から大人まで好奇心を育てていきたい。その好奇心というところからCuriosity、種というところからSeedsというのを合わせて、CurioSeedsという団体名になっています。

CurioSeedsは大学院の博士課程の学生で構成されるコミュニケーター集団で、専門分野を活かした科学教育のサービスを提供しています。実験やフィールドワークを通じて科学の面白さを体感することで、遊びの時間が減っている子どもたちの好奇心や考える力をアップさせることを目指しています。
実際のサービスとしては、例えば小学1年生100人とコラボした葉っぱの図鑑作りの授業など。これはかなり盛り上がって、楽しい授業でした。また、博士側に対しては、博士カフェや博士女子会といったコミュニティを作り、横の繋がりの場を増やす取り組みもしています。
学生だからこそ社会課題に対して立ち向かえる機会があるのではないかと思っています。教育に興味がある方はぜひ声をかけてください!

ちいここ橋本さん:

「ちいここ〜地域と医療の全てが、ここにある〜」という団体を、全国各地のメンバーと一緒に運営しています。

人の健康って、その人が住んでいる地域や経済環境など色々な要因が絡み合って決まるのですが、医療系学生が大学の専門として学ぶところはほんの一部分です。医療分野だけではなく、いろんな地域や社会の背景を知ることができる機会を医療系学生に届けようということで、私たちは活動しています。
具体的な活動は、オンラインコミュニティと合宿・ツアーの2軸です。正直、医療っぽいことはあまりしていなくて、いろんな人の人生の背景を聞いてみたりとか、実際に肌で感じることを合宿・ツアーでは大切にしています。
このイベントに参加してくださっている方もそうかと思うんですけど、一緒にやっていく仲間が周りにいたからこそ、私はいま活動できています。「こんなことしてみたいんだ」と口に出すことからひとつずつ物事は進んでいくので、そういう思いを言葉に出していけるような場所や時間を作っていけたらなと思っています。

社会課題に気づき、学生団体を立ち上げたきっかけ


ピーティックス元山:
私の周りには、やりたいことがありつつも団体を立ち上げるまでにはなかなか至らない人が多いのですが、皆さんが伝統工芸や教育、医療に関する社会課題に気づいたきっかけと、そこからなぜ団体を立ち上げたのかをお伺いしたいです。

伝統工芸とらくら佐伯さん:
私は元々代表をされていた方から引き継いだのですが、きっかけは椎名林檎さんの『神様仏様』という曲でした。PVを後で見てもらいたいのですが、この曲は妖怪をテーマにジャズやミュージカルの要素を入れてPVを作成してるんですよ。もともと小さい頃から妖怪が好きで、日本文化をかっこよく伝えるのってすごく面白いなって思っていて…。で、そのとき暇だったので「日本文化 サークルと検索したら、1番上に出てきたのがとらくらで、入ってみてしばらく活動してみたら、2ヶ月で代表になってしまって(笑)。
そこから工芸の問題について学んだので、最初は何か問題意識があって始めたわけではなく、 好きなものを追いかけていたらたどり着いたという感じです。

CurioSeeds飯島さん:
実は私も教育には全然興味がなくて…。ただ、家庭教師として受け持ってる小学2年生の子が「周りの子はみんな塾に行ってるから遊べない」と言っていて、なんとなく「それってまずいよね」と思っていたときに、たまたま「夢見る小学校」という映画を見て「これだ!」と感動したのがきっかけです。
映画の中のように子供たちがキラキラして学校に行くのが1番理想だなと思い、何かしたいと考えていることを博士の友達に言ったら、一緒に何かしようということになりました。そこから先生にも相談して、教育に関して何かしたかったけど動けていなかった博士の人たちが集まり、どんどん輪が広がったという感じですね。

ちいここ橋本さん:
私の場合は、高校生の時に教育の道か医療の道に行くか悩んでいたこともあり、元々医学を学ぶことだけに興味があったわけではありませんでした。
大学に入ってからは多分野を学びたいという気持ちが強く、 大学1年生の時にコロナが流行ったのでオンラインでいろんなことができる時期になり、それぞれ違う分野に興味のある全国各地の医療系学生たちと繋がる機会があったのが活動のきっかけです。
そこから仲良くなり、医療者はいろんな人の人生に関わっていく仕事になるので、人の生活について知ることができる場や機会が大学外にも増えたらいいよねということで、活動を始めました。

インセンティブがない中、メンバーのモチベーションをどう上げる?


ピーティックス元山:
学生コミュニティはインセンティブが出せない中で、メンバーのモチベーションをどう上げていくか悩んでいますという声がすごく多かったのですが、それに関してはどういうことをされていますか?

伝統工芸とらくら佐伯さん:
まさに、私もまだ完全な答えを見つけていない感じで、試行錯誤中です。メンバーが30人、コアで活動してる子は12人いるんですけど、 比較的小規模だからこそできるのは1on1で話すことですね。
あとは、全員タメ口で喋るということをしています。というのも、1年生から4年生までの壁をなくすことで活動しやすくなったり、自己開示しやすくなるので、そこで仲良くなってもらえたり。
また、例えばイベントをする時に、その準備期間も楽しめるように企画するっていうのは大事かなと思います。みんながワクワクするように、例えばOB・OGを呼んで交流したり、職人さんと意見を交換したりとか。そういった刺激をちょこちょこ入れてモチベーションを保つ工夫をしています。

CurioSeeds飯島さん:
私自身もメンバー間でのモチベーションの差はかなり大きな課題で、 日々どうしようかと考えているところです。ただ、うちはコアメンバーは6人でやってるので、そのメンバーは基本的に課題意識が高く、自分からこういうことをやりたいという意見を出してくれるので、私はそれを全力で応援して、必要な人やものがあったら全部私が取ってくるぐらいの気持ちでとにかく動くというのを基本的にやっています。
あとは、授業単位で来てくれる方や新しくコアメンバーに入りたい方に対しては、 個別で話す時間を設けるというのが、今やっていることです。

ちいここ橋本さん:
お2人がお話されていたことと近い部分もあるのですが、メンバーそれぞれの今のモチベーションややりたいことと、活動が合っているかどうかを考えるようにしています。
学生の期間ってすごく貴重だと私自身感じているので、もちろん一緒に活動し続けたいですけど、次に進みたいことがあるなら挑戦してほしいと思っています。なので、その人が今の活動をプラスに感じているか、前向きに取り組めているかを意識して聞くようにしています。学部の実習や試験が忙しい時期もあるので、無理な時は他のメンバーでカバーするようにしていて、タスク量を平等にするというよりは各メンバーに合う形を考えるようにしています。

伝統工芸とらくら佐伯さん:
今のちいここさんの話を聞いて一つ付け足したいなと思ったことがあって。私もメンバーにめちゃくちゃヒアリングしたり、調整を頑張った時期があったんですけど、 みんなに細く長く続けてほしいがために、割と柔軟に対応するからねっていう態度を取りすぎると活動への取り組みの優先順位を下げてしまう学生が出てきたことがありました。
どうしたらいいのかなと思った時に、対外的に自分たちの団体のブランド力を上げるだけではなくて、メンバーたちにもこの活動には価値があって、本当は優先順位1位になってほしいくらい、意味があるものなんだよっていうのを伝えることも大事だと最近気づいたので、共有します。

ピーティックス元山:
ありがとうございます。オーガナイザー以外のメンバーはどうしてもプライオリティは下がってしまいがちな中で、自分たちの活動がどれだけ素晴らしいものかっていうことと、自分が組織に対してどれだけ貢献できてるのかっていうところを自覚できるような機会を設けることが大事なのですね。

交流会

パネルディスカッションのあとはブレイクアウトルームに移動して、登壇者の方々やモデレーターと直接お話しできる交流会が行われました。コミュニティ運営についてのシェアや今後コラボしたい!など、どのお部屋も盛り上がりが見られました。

グラフィックレコーディング

今回のイベントサロンYouthでは、イラストレーター・グラフィックレコーダーのTOMMY-ZAWAさんにグラフィックレコーディングを書いていただきました。ありがとうございました!

「イベントサロン」は、イベント・コミュニティ主催者が集まる場として、さまざまなテーマを設けてイベントを開催しています。今後のイベント情報は、こちらのグループページでお知らせしていきますので、ぜひフォローをお願いいたします。