我が子のへその緒を切った経験が活動の原点。国際女性デーがなくなる日を目指して [IWD2024 コミュニティインタビュー #3]
3月8日は、女性をエンパワーし、ジェンダー平等な社会を目指す「国際女性デー」です。
イベント・コミュニティプラットフォームであるピーティックスには、女性がいつでも自分らしい生き方を選択できる社会を推進するコミュニティがたくさんあります。
今年の国際女性デーのテーマは「Inspire Inclusion(インクルージョンを促進しよう)」。このテーマに沿って、女性が参加しやすい、包括的な社会を目指すコミュニティへインタビューを行いました。
今回ご紹介するのは、一般社団法人 HAPPY WOMAN 代表理事・小川 孔一(おがわこういち)さん。
国際女性デーが国内であまり知られていなかった2017年から、その普及に取り組んでいらっしゃいます。小川さんは、なぜ国際女性デーを広めようと考えたのでしょうか。
「女性のエンパワーメントとジェンダー平等」を推進するHAPPY WOMANが歩んできた道のりと、この先の未来とは。
ーー小川さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします!早速ですが、活動内容について教えていただけますか。
HAPPY WOMANは、「女性のエンパワーメントとジェンダー平等」を推進するプロジェクトです。今年で8年目ですね。
活動当初はまだ大半の人が国際女性デーのことを知らないし、「SDGs」「サステナビリティ」といったキーワードも今ほど浸透していない頃だったんですよね。
そんな時から、国際女性デーを社会的ムーブメント化し、 ジェンダーのことを考えるきっかけをつくる活動をしています。幸せな女性を増やすことが、みんなの幸せ、地球上の幸せにつながっていくと考えています。
ーー活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
子どもが2人いるのですが、自宅出産で生まれて、僕が子どもたちのへその緒を切ったんですよ。
その時に、 女性の強さやたくましさを目の当たりにしたのが大きなきっかけですね。
あとは、自分の人生だけじゃなくて、 生まれてきた子どもたちのさらに先の100年を作って、 良い世の中を作っておかないといけないなと思ったんです。そのためにできることは何かと考えた時に、次世代の育成やジェンダー平等が重要だなと考え、活動を始めました。
ーーすごい体験ですね。そういったご自身のご体験や、ご家族への想いがきっかけだったんですね。
なかなか衝撃的ですよ。病院ではないところで自分が椅子代わりになって、 妻をずっと抱えて、生まれるまで立ち会って、出てきた瞬間にハサミを渡されてへその緒を切ったんです。
子どもを生むっていうことに関して、女性はすごいとしか言いようがないので、リスペクトしていますね。
ーー長い間国際女性デーの普及活動をされていますが、日本の現状は実際どうなんでしょうか?
日本ではまだまだジェンダーギャップがあり、特に政治や経済の分野におけるジェンダーギャップ指数が低い状況です。さらに、家庭内でもジェンダー平等が進んでおらず、家事の負担が主に女性にかかっているという課題があります。
女性の自己評価に関しても、約6割から7割の女性が自分に自信がないと感じているというデータがあり、管理職になりたくないという女性も多いというのが現状です。
インポスター症候群(自分の能力や実績を認められない状態)など、自分の力を信じられず、過小評価してしまう方が日本にはたくさんいるので、そういったところから解決していかないと社会問題も解決しにくいと思っています。
さらに、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)も根付いていて、「男は男らしく、女は女らしく」というような固定観念が強くなってしまっているので、これも変えていって、全ての人が平等に活躍できる場を作っていきたいと考えています。
国際女性デーのイベントでは、トークショーなどを通じて、男女を問わず理解を深め、学びのきっかけをつくることで、無意識の偏見に気づいてもらいたいと思っています。
ーー男女を問わずというのは大事な視点ですよね。男性でイベントに参加される方はどれくらいいらっしゃるんですか?
最初は、来場者は女性が中心でした。今は約半分くらいが男性で、増えてきていますね。
東京や首都圏だけではなく、地方の方にも知ってもらえるよう、47都道府県全制覇を目指してイベントを開催しています。今24都道府県まで拡大しているので、2030年までに全都道府県で開催したいと思っています。
ーー普及活動を続けていく中で、参加者や社会の反応はどのように変化しましたか?
始めた頃は、私たちから声をかけて巻き込んでいましたが、ここ数年は、企業や団体側から私たちへ問い合わせいただくことがとても増えていますね。
様々な著名人や商業施設と企画を作っていますが、そうした嬉しい反応も影響して、年々規模が大きくなっています。
大手百貨店やホテルと連携して黄色い売り場やアイテムを展開したり、花業界で黄色い花を贈るキャンペーンを行ったり、食品メーカーとミモザのキャンディを発売したり。
より多様な業界とコラボできるようになってきて、ムーブメントが広がってきた実感はありますね。
あとは、取り組みを始めた時にテーマカラーを黄色に設定しました。「ハッピーイエロー」というキーワードで発信してきたのですが、今では他の企業や団体が主催するイベントでも黄色が使われていることが多く、国際女性デーのイメージカラーとして定着してきたと感じます。 関連イベントを目にすることが増えているのも、いい流れだと思っています。
ーー社会的ムーブメントが起こってはいるものの、ジェンダーギャップ指数が低い状況が変わらないことに対し、小川さんはどうお考えですか?
日本人って真面目な国民だから、SDGsや環境、人権のことについて言われたら一生懸命に取り組むんですよ。社内の制度や働きやすさに関する取り組みも進んでいて、そこはもう整ってきているんです。
でも、例えば育休を男性が取る仕組みができても、みんななかなか取りにくい。実際、男性の育休を取れる期間は世界的に見てもトップクラスに長いのに、なかなか活用されていないんです。
日本人の真面目さ、勤勉さは良いところですが、政治や経済など、さまざまな分野で男女の数を均等にしなさいというクオータ制のような法律が他国に比べて遅れているのかもしれません。
例えばフランスなど、日本と同じようなジェンダーランキングだった国がクオータ制を取り入れて進化しているんです。女性の参画を増やすためには、強制的な制度が必要という見方もあるかなと思います。
日本でも進められると、今までの男性目線で作られてきた法律や働き方、マーケティングなどが変わり、社会全体が復活していける可能性があると思います。
ーー2024年国際女性デーのテーマは「Inspire Inclusion(インクルージョンを促進しよう)」ですね。このテーマに対し何か意識されていることはありますか?
2017年からいろいろな会社や人を巻き込みながら社会的インパクトとムーブメントを作ってきましたが、あえてテーマに縛られないようにしています。
3月8日は「女性の生き方を考える日」として、一貫して活動していますね。世界のテーマは日本人からすると直接的に関係しないことなので、あんまり興味関心を持たれない。
我々は日本人なので、日本の課題解決をしていくために、自分ごと化できるような機会を提供したいと思っています。
ーー国際女性デーを日本でどのようにしていきたいですか?
国際女性デーがなくなればいいなと思っています。
国際女性デーは、1975年に国連が制定しました。女性に参政権もない時代だったので、女性たちにも権限をというデモをきっかけに記念日になっていて、その歴史を作ってきた女性たちを称えたり感謝をする日というのが国際女性デーなんです。
ジェンダーギャップが改善されて平等になった時には、母の日みたいな、お母さんにありがとうというのと同じように感謝する日になっていけばいいなと思います。
ーー国際女性デーを迎えるにあたり、女性たちへのエールや応援メッセージをお願いできますか?
僕たちは、「ハッピー」っていうのを前につけてるのがこだわりで、やっぱりみんな幸せになるために生きてるし、 幸せになるために働いているし、幸せになるためにジェンダー平等が必要です。
一度きりの人生、本当にあっという間に終わるので、自分らしくいきいきと生きられる人が増えるといいなと思ってます。
そして、そのためにはしっかりと行動してほしいです。 アクションする人としない人では絶対的な差がつくので、思ったことはやってみてほしい。
あとは、周りの人を幸せにすることが自分の幸せにつながるということを、忘れずにいてもらえたらと思います。
ーー小川さん、ありがとうございました!
HAPPY WOMAN
ピーティックスページ:https://happywoman.peatix.com
ウェブサイト:https://happywoman.online
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