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株式会社b-growth代表/BtoBマーケティング研究会主宰・菱沼 匡氏に聞く、「実践型BtoBマーケティング」「戦略的施策とKPIの組み立て方」 [Marketing Terrace vol.4 イベントレポート]

イベントやセミナー、コミュニティを中心としたマーケティングが新たな潮流として注目を集める中、イベント・コミュニティサービスである「ピーティックス」は、マーケティング業界のプロフェッショナルが集い、現代の激動するマーケティング業界における課題に対する知見や戦略を共有するイベントシリーズ「Peatix Marketing Terrace (ピーティックス マーケティングテラス)」を定期開催しています。

Vol.4のゲストは、株式会社b-growth代表/BtoBマーケティング研究会主宰 菱沼 匡(ひしぬま たすく)氏。

仕事に活かせるマーケティング情報や人脈が作れる場をオンライン・オフラインで提供する菱沼氏に、目的に応じたBtoBマーケティング施策やBtoBマーケター採用のコツ、マーケティング戦略におけるKPIの組み立て方、おもしろいマーケティング事例や今後のマーケティングトレンド予想についてお話を伺いました。


■ 開催日:2024/6/26 (水) 19:00 - 20:00

■ 登壇者:
菱沼 匡氏 [ 株式会社b-growth代表 / BtoBマーケティング研究会 主宰 ]
仙台市出身。大学卒業後、一貫して事業会社でマーケティング/事業開発業務に従事した後独立。関わった商材は50以上。2022年に立ち上げた『BtoBマーケティング研究会』は参加人数800人規模まで成長。マーケター向けの勉強会や懇親会などを主宰し、企業とマーケターの最適なマッチングやマーケター同士の繋がりを活発化させるべく奮闘中。

株式会社b-growth
ピーティックス:BtoBマーケティング研究会
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コツは「エージェント選び」と「職種の定義」


ピーティックス藤田 (以下 藤田):
BtoBマーケターを採用したい時、どのように動くのが良いのでしょうか?

株式会社b-growth 菱沼さん(以下 菱沼さん):
採用のコツについては2点あります。

まず1点目は、エージェントサービスを使う場合、BtoBマーケティングの経験がある人が社内にいるエージェントを選ぶことです。実務経験がある人でないと、例えばウェビナー運営にどれくらいのリソースが必要か、営業との橋渡しの役割などは語れません。紹介する企業の魅力をマーケターに伝えきれず、企業側が本当に欲しいところも理解しきれないので、ミスマッチが起こりやすくなります。

2点目は、BtoBマーケターという職種をどう定義するかについて考え直すことです。BtoBマーケティングという言葉は最近出てきたもので、職種としては営業企画に近いと感じています。営業を助けるためのコンテンツ提供やリード獲得などが主な役割ですが、「BtoBマーケター」というと、デジタルマーケティングに特化した人材が集まってきがちという話はよく聞くので、募集する職種の定義を見直すことも一つの手段だと思います。

マーケターにとっての”KPI”


ピーティックス西川(以下 西川):
マーケティング戦略において重要視されていることや、KPIの組み立て方のコツについて教えていただきたいです。

菱沼さん:
BtoBマーケのKPI設定は難しいですよね。
業種によっても変わるので一般論にはなりますが、うまくいっている会社の共通項は、KPIが非常にシンプルだということです。

また、今はリードジェネレーションが大事だけど、次の段階ではCRMが大事だよねというように、KPIは事業フェーズによって変えていくべきものだと思います。組織全体がそれを理解し、それに向かってベクトルが合っている状況が理想的だろうなと思います。

藤田:
KPIはある種の呪縛にもなり得ますよね。マーケターは、KPIをどう捉えて目線を合わせれば良いのでしょうか?

菱沼さん:
マネージャーが意識するKPIの考え方と、メンバーが考えるKPIは別物だと思っています。

マネージャーにとってKPIは会社から与えられた目標であると同時にチームをまとめるためのマネジメントも見据えて設計すべきであり、事業戦略や売り上げ目標からKPIを設定するのはもちろん、定めたあとはメンバーにいかに行動してもらい、KPI達成を担保できるかに注力するべきだと思います。もちろん事業フェーズが変わるごとに定期的に見直す柔軟性も必要です。

メンバーは、そのKPIを意識し、日々の業務に取り組むことが期待されます。KPIを設定してくれない上司もいるかもしれませんが、その場合でもめげずに上司とすり合わせを続けることが結果的に自分や会社の利益につながるので、しつこいくらいに自分のKPIや目標について話し合い、しっかり握ることが大切だと思います。

これからは「顔を売る」マーケティング


藤田:

3rd party cookieの規制によってこれまでのBtoBのマーケティングの手法が効かなくなってくるかと思います。今後はどんな手法が有効なのでしょうか?

菱沼さん:
3rd partyに依存してマーケティング活動をしていた企業と、一次情報をしっかり集めていた企業で、今後の対応は大きく変わってくると思っています。前者の場合は、新手法を探す以前にそもそも自社で一次情報を集めていく方針を固めた方が良いと思ってます。 

昔のマーケ手法に回帰するような話になりますが、一周回ってメールや個人チャットのようなダイレクトアプローチが注目を浴びてくるのではないかと思っています。例えばリアルイベントによく顔を出していたり、SNSで目立っている人は、ふとしたタイミングで自分の顔が相手に想起されやすくなる土壌が育っていきます。さらに、その方が何をやっている人なのかということも知ってもらっていれば、課題が発生した際に「久しぶりに連絡してみよう」と思わせるようなナーチャリングにつながると思います。

企業も同じで、まずは第一想起をされるような存在になるようなコミュニケーション戦略を取っていくことが中長期的に見て、有効になってくるのではないでしょうか。また、企業といえど最終的に意思決定を行うのは人間なので、知らない人よりも知っている人から買う方が安心感がありますし、顔を売るというような、一昔前みたいなアプローチに戻っていくんじゃないかなと。メルマガのリスト、Facebookグループ、Slackのオープンチャンネルなど、共通項がある人たちをさまざまなチャネルで囲い込むことが大事になってくると思います。

ペルソナ設定のポイント


西川:

事前に募集したアンケートで、セミナー以外でのリード獲得、新規獲得、新規顧客獲得に苦戦しているという方から質問をいただいています。マーケティングフレームワークの4Pにおいて、プロモーションとプレイスの手段をどのように定めるべきでしょうか?

菱沼さん:
商材にもよりますが、チャネル戦略の前に、ペルソナ設定など誰に何を売るのかという基本に立ち返ることも必要だと思います。チャネルが足りないという状況は、やり尽くした後に起こるものですが、実際にそこまでやり切れている会社は少ないと思います。

お客さんを深く理解していれば、リード獲得の手段は色々と浮かんでくると思いますし、それを全部試した上で苦戦しているなら、そもそも商材やターゲットも見直した方が良いかもしれないですよね。商品のプランニングや企画の部分と、マーケティングでリード獲得をする部分を行き来するような考え方が良いんじゃないかなと思います。

藤田:
ペルソナについても事前質問が来ていました。顧客のニーズが多様化・拡大する中でのペルソナ設定についてお聞きしたいです。

菱沼さん:
ペルソナ設定というと社外に目が向きがちですが、僕は社内の目線合わせが重要だと思っています。社内の人たちが同じ顧客像を共有していないと、ウェビナー、メルマガ、広告などのアウトプットがばらつき、プロモーションの一貫性がなくなってしまいます。せっかくお金をかけても、ブランドの統一感がされていないと点の施策になってしまうんですよね。

また、特にBtoBの場合、ターゲットペルソナは複数設定した方が良いと思います。例えば、よく会う担当者をペルソナ1とするなら、その上司や経理担当者などもペルソナ化するべきだと思います。複数のペルソナを設定することで、狙っていくべき会社の状況を高い解像度で理解でき、社内のペルソナ統一もスムーズになります。

社内でペルソナイメージが統一されると、例えばHRプロダクトの導入事例のメルマガを送るとして送信リストに経理担当者しかいない場合でも、社内転送で人事担当者に転送される可能性があると想定してリンクや事例を入れておこうといった考え方ができるようになるので、アプローチの仕方も大きく変わってくると思います。

成果を出すための業務効率化とリソース確保


藤田:

最後に、マーケティングの今後に対するお考えや、どのようにマーケティングを捉えていくべきかをお聞かせいただけますか?

菱沼さん:
マーケティング施策を推進する上で大事な要素として稼働リソースがありますが、労働人口の減少により、リソース確保の難易度は年々上がっていくと思います。限られたリソースの中で現状維持もしくはそれ以上の成果を出すためには、業務効率化か新規リソース調達の2パターンしかなく、結論どちらも必要だなと思っています。

例えば、AIの活用は業務効率化につながりますし、弊社が行っているようなBtoBマーケターの正社員・業務委託者の紹介を受けることでリソースを確保する方法もあります。クラウドソーシングサイトなどでの外部リソースの活用も良いですが、書かれている情報が事実かどうかは、一緒に仕事をしてみないと分からないですよね。これは正社員でも同じことが言えます。弊社では候補者の面談で人間性やスキルセットの見極めとフィルタリングをしているので、採用にリソースを割く時間のないマーケターの代わりにマッチング確度の高い方を探してくることができます。弊社も含めてリソース確保の手段はいくつか持っておかれると良いかと思います。

BtoBマーケティングのトレンドとしては、コンテンツ命であることは変わらないと思いますし、顧客理解をした上で、顧客が欲しい時に欲しい情報をどう届けるかという本質的な部分がより問われていくと思います。認知施策として広告やPRも有効ですが、それだけでは顧客も意思決定はしないと思うので、問い合わせした人が上司や周りの人にシェアしたくなるようなコンテンツや事例をしっかり作り込むことが大事だと思います。


「Peatix Marketing Terrace」は、マーケティング業界のプロフェッショナルが集い、現代の激動するマーケティング業界における課題に対する知見や戦略を共有するイベントシリーズです。マーケティング業界に携わる皆様が連携し、新たなアイディアや手法を共有・発展させる場を提供します。

今後のイベント情報は、こちらのグループページでお知らせしていきますので、ぜひフォローをお願いいたします。

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