フェムテックがもたらす社会の変化とは。男性にも知ってほしい女性の 「からだ」 と 「こころ」 [ IWD2024 コミュニティインタビュー #2 ]
3月8日は、女性をエンパワーし、ジェンダー平等な社会を目指す「国際女性デー」です。
イベント・コミュニティプラットフォームであるピーティックスには、女性がいつでも自分らしい生き方を選択できる社会を推進するコミュニティがたくさんあります。
今年の国際女性デーのテーマは「Inspire Inclusion(インクルージョンを促進しよう)」。このテーマに沿って、女性が参加しやすい、包括的な社会を目指すコミュニティへインタビューを行いました。
今回ご紹介するのは、一般社団法人日本フェムテック協会の代表理事・山田 奈央子(やまだ なおこ)さん。
フェムテック(Femtech)=「Female(女性)」+「Technology(テクノロジー)」とは、女性のライフステージにおける様々な課題をテクノロジーの力で解決するための商品・サービスのこと。
正しい知識を学び、自分に合ったフェムテック商品を選ぶことは、女性や社会にどのような変化をもたらすのでしょうか。
ーー山田さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします!早速ですが、日本フェムテック協会の活動内容について教えてください。
私たちのミッションは、フェムテックに関する知識を広め、女性が自分の体を理解し、適切な商品やサービスを選ぶための「フェムテラシー(フェムテック+リテラシー)」を高めることです。
また、「ワーク・ライフ・ホルモンバランス」を掲げ、仕事と家庭のバランスだけでなく、ホルモンバランスによる体調の変化も含めて大切にすることを推進しています。女性が自分自身を知るだけでなく、男性にも性別による違いを知ってもらうことによって相互理解を促進し、ウェルビーイングな社会を実現したいと思っています。
具体的には、女性が長期間働き続けられる環境を目指す企業に向けて、ヘルスリテラシーに関するセミナーや研修を提供しています。
一般の方には、気軽に女性の体と心に関する正しい知識やケア方法を学べる「フェムテック認定資格」を提供しています。実は男性の取得者も多く、女性のパートナーや同僚について知りたいと感じている方が増えてきた印象があります。
ーー協会を設立されたきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけは大きく2つあります。
1つは、18年にわたる会社経営の経験です。下着や妊活用のサプリなど、フェムテック分野の商品をメーカーと協力して開発していました。その中で、日本の女性の未病ケアへの意識が低く、対処療法に偏りがちであることを知り、課題意識を感じていました。
もう1つは、2020年に自分自身が婦人科系の病気を患ったことです。コロナ禍だったこともあり病院へ行くのが遅れてしまい、「もっとリテラシーが高かったら早くアクションを起こすことができたのに」と後悔していました。そういった経験を共有したところ、周りの女性の多くが同じような悩みを抱えていることを知りました。
そこから、女性が健康に関する情報を正しく理解した上で、早期に専門医の診察を受けることや自分に合った商品を選ぶことの重要性を伝えるため、医師や専門家の方々と協力して協会を立ち上げました。
ーーフェムテックを広めることによって、女性たちの生活や仕事はどのように変わるのでしょうか?
「フェムテック認定資格」の講座を受けた女性の例を挙げると、体調が良くなった方や新しいことにチャレンジするきっかけになった方、自分や周りの女性を幸せにするために起業した方もいて、「自分の人生が変わった」という嬉しい声がたくさん届いています。
認定資格講座の一部では、フェムテックに関する情報をはじめ、医療知識や世の中の変化などを多角的に学んでもらっています。それらを通して、自分がどう変わっていきたいか、社会がどうなってほしいか、という考えが生まれることで、人生の新たな選択肢が出てくるのかなと思っています。
ーー男性や当事者以外の方も含めたリテラシーの向上は、どのようなポジティブな影響があるのでしょうか?エピソードがあれば教えていただきたいです。
パッと浮かんだものでいうと、3つエピソードがあります。
1つ目は、掃除会社の社長がフェムテックを学び、新たな事業を展開し、女性社員が活躍できる環境をつくったというエピソードです。
2つ目は、「フェムテック協会認定資格」を受けた不動産会社の社長のエピソードです。その方は「フェムテック協会認定資格」を受けたあと、実際に女性社員の声を聞き、福利厚生としてピルを提供するなど働きやすい環境を整えたと聞きました。
3つ目は、男性エンジニアのエピソード。もともと女性の同僚とのコミュニケーションに難しさを感じていたそうですが、講座を受講し女性への理解を深めることで、良好な関係を目指していました。
当事者ではない男性も、女性のことを理解したいと自ら行動していることを知り、世の中はもっと変わっていけるな、と実感しました。
ーー「フェムテック」は比較的新しい言葉かと思います。そういった中で協会を運営する上で、課題に感じたことはありますか?
今でも、まだまだ言葉が浸透していないなと感じています。
講演やセミナーを行う際は、「フェムテックって何?」「そもそも女性が活躍する必要はあるの?」という質問も出てしまうくらいなので、苦労することは多いですね。
女性にとっては自分ごとなので知っている方は多いですが、男性だと会社の研修などで初めて知った、という方も多いです。なので、まずは認知度を上げるために企業へのアプローチをしています。
ーー2024 年国際女性デーのテーマは「Inspire Inclusion(インクルージョンを促進しよう)」ですね。包括的なコミュニティになるよう工夫されていることはありますか?
2月27日に開催する「フェムテックサミット」では、男性も参加できるような内容にしています。
男性の登壇者を含めたセッションを開催したり、色々なフェムテック商品に触れられるブースを設置したりと、女性だけでなく男性にもしっかりとフェムテックの大事さを伝えていくために工夫をしています。
JAPAN FEMTECH SUMMIT 2024
https://j-femtech.com/japanfemtechsummit2024
また、毎週火曜日には無料のランチタイムウェビナーを開催しています。フェムテックに関する情報を、誰でも気軽に聞くことができる場をつくるように意識しています。
ランチタイムウェビナー
https://j-femtech.com/lunchtime_webinar/
ーー国際女性デーを迎えるにあたり、山田さんから女性たちへのエールや応援メッセージをお願いします。
とにかく元気で、自分らしく生きていくことが何よりも大切だと思っています。そのためには、まずは自分がいつもいい調子でいられる状態を作っていっていただきたいです。
自分の体も心も大事にしましょうというのが、一番伝えたいことですね。
ーー山田さん、ありがとうございました!
一般社団法人日本フェムテック協会
ピーティックスページ:https://peatix.com/group/11494391/events
ウェブサイト:https://j-femtech.com/
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