SNSコミュニティで企業を成長させる!SNSマーケティングの新潮流 ゲスト:株式会社ライスカレー 辻 馨氏 [Marketing Terrace vol.6 イベントレポート]
イベントやセミナー、コミュニティを中心としたマーケティングが新たな潮流として注目を集める中、イベント・コミュニティサービスである「ピーティックス」は、マーケティング業界のプロフェッショナルが集い、現代の激動するマーケティング業界における課題に対する知見や戦略を共有するイベントシリーズ「Peatix Marketing Terrace (ピーティックス マーケティングテラス)」を定期開催しています。
Vol.6のゲストは、株式会社ライスカレー 上級執行役員 コミュニティプロデュース部長の辻 馨(つじ かおる)氏。
SNSを活用したファン/コミュニティ醸成の方法や企業におけるSNSチャンネルの設計についてなど、時代の変化とともに進化しているSNSマーケティングの手法についてお話を伺いました。
■ 開催日:2024/8/27 (火) 19:00 - 20:00
■ 登壇者:
辻 馨氏 [ 株式会社ライスカレー 上級執行役員 コミュニティプロデュース部部長 ]
2021年7月より、株式会社ライスカレー 上級執行役員に就任。
Instagram・TwitterなどSNSを通した企業コミュニティマーケティングにおける企画・形成・運営事業に従事。大手自動車メーカー・食料品/メーカー・外資系外食チェーン・鉄道会社など500社以上のSNS設計に関わり、ファン/コミュニティを強く意識したマーケティングを得意とする。
ピーティックス藤田 (以下 藤田):
企業のSNS活用は、今はもう当たり前になっていますよね。そもそも、なぜ企業はSNSを活用した方が良いのでしょうか?
株式会社ライスカレー 辻さん (以下 辻さん):
マスメディアなど情報を露出する方法が色々ある中で、SNSを選択する理由としては2つあります。
1つ目は、単純に「人々がSNSを見ているから」です。以前に比べてテレビを見る時間はどんどん分散され、今ではInstagramやTikTok、YouTubeなど、スマホを通じてコンテンツが消費されています。広告を出す場所は、やはり人々が集まっているところが有利です。
2つ目は、SNSが一般のユーザーによる情報発信の場になっているという点です。昔は、情報を得る手段といえばテレビや新聞、ラジオ、雑誌で、情報発信をするのはブロガーなど特別な人たちでした。しかし今では、例えばスターバックスでフラペチーノを飲んだら、その写真をストーリーズに投稿するのが当たり前になっています。つまり、今は世界中の誰もが情報発信者なんです。そして、その中で影響力のある人が発信してくれることで、企業は少ない労力で広く認知を広げることができます。これが、SNSを活用する大きなメリットだと思います。
ピーティックス西川(以下 西川):
今回ご覧いただいている方の中には、SNS担当を任されて、どのプラットフォームを使えばいいのかわからない、という方もいらっしゃるようです。どのSNSを使うべきか、また、運用するまでにどのようなステップを踏むべきかについて教えていただけますか?
辻さん:
分かりやすい例でいうと、コスメなんかはInstagram、TikTok、X(旧Twitter)など、インフルエンサーがたくさん投稿していて、どのSNSとも相性が良いですよね。
一方、例えばマッサージのようなサービスだと、施術中の写真や動画を撮るのが難しいので、InstagramやTikTokにはあまり向いていませんよね。でも、Xなら文章ベースで感想を投稿できるので、相性が良いと言えます。
難しく考える必要はなくて、まずは近い商材がどのSNSで多く投稿されているか、バズっているかをチェックすることから始めると、相性の良し悪しが見えてきます。
そこからターゲットの年齢層が若めであればTikTok、幅広いのであればInstagram、 キャンペーンでリーチを取っていきたいのであればXなど、それぞれのSNSの特徴と目的を照らし合わせて選んでいくと良いのかなと思います。
西川:
ブランディングを損なわずにSNS運用をするための設計のポイントはありますか?
辻さん:
「ブランディング」という言葉って、実はSNSと相反しているんです。 これまで何千ものアカウントを見てきましたが、最も多い失敗パターンは、ブランディングから考え始めてしまうことです。
2015年頃のInstagramでは、綺麗に作り込まれた投稿が主流で、そういったものが求められていました。でも今、多くの人が見ているのは、インフルエンサーや一般ユーザーが「これ最高」「これ美味しかったよ」といった自然な感想をシェアする、いわゆるUGC(ユーザー生成コンテンツ)やインフルエンサーライクな投稿です。
極論ですが、企業のブランドイメージは、どのインフルエンサーがどのようにその商品を紹介するかに左右されることが増えています。ブランドのイメージですら、企業が作るのではなく、第三者に作られているんです。
SNSの世界では、何を見るかを選ぶのは消費者です。コンテンツが大量にあふれている今の時代、ただ投稿するだけでは世の中への露出にはなりません。企業が発信したいメッセージを優先するのではなく、バズっているコンテンツをしっかりと分析し、それに自社の商品やサービスをうまく絡めることで、ユーザーに「選ばれる」コンテンツを作ることが重要です。
視聴者の方から質問:
私の会社はネジなどを作る工場で、あまり若い人やユーザー向けの商品ではありません。しかし、SNSをやることになって、何を投稿するのがいいのか困っています。
辻さん:
BtoBのマーケティングをSNSでやろうとすると、どうしても対象者が狭すぎるんですよね。ターゲットが限定的なので、SNSでピンポイントにアプローチするのは難しい。大前提として、SNSとBtoBの相性って、正直あまり良くないんですよ。
ただ、社内では「SNSという発信できる場所があるんだから、ちゃんと使っていこう」っていう動きがあることが多いです。でも、SNSって、ただ発信しただけでは見てもらえるわけじゃないんですよ。そこの理解がまだ浸透していないんです。
その結果、うまくいっているBtoB企業が少ないので、SNSに対する予算も出ない。予算が出ないと、SNSマーケティングを支援してくれるプロに依頼することもできない。ノウハウがないまま運用することになって、業界全体が前に進まないというジレンマに陥っているんです。
うちの会社にもそういった相談が多いんですが、どうしても予算や社内の理解が得られず、SNS担当者の方々に責任が押し付けられてしまっている感じがありますね。
藤田:
業態によっては、そもそも「SNSをやるべきかどうか」というところに立ち返るべき場合もありますよね。
辻さん:
そうなんです。やらないよりは確かにやった方がいいかもしれませんが、フォロワーを増やすのは本当に難しいですし、戦略をしっかり組んで運用するのも自分たちだけではなかなか厳しい。1~2年頑張ったとしても、社内で評価されないこともよくあります。
なので、もしSNSをやるのであれば、ちゃんと予算を出してもらうように、説得資料を一緒に作るとか、それが難しい場合は最低限の労力で運用しつつ、他の形で社内から評価してもらう道を考えることも重要です。場合によっては、そういった「別の視点」からの提案をすることもありますね。
「Peatix Marketing Terrace」は、マーケティング業界のプロフェッショナルが集い、現代の激動するマーケティング業界における課題に対する知見や戦略を共有するイベントシリーズ。マーケティング業界に携わる皆様が連携し、新たなアイディアや手法を共有・発展させる場を提供します。
今後のイベント情報は、こちらのグループページでお知らせしていきますので、ぜひフォローをお願いいたします。
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