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“当事者意識”がカギ。仕事と子育てを両立できる社会のためにできること。[IWD2024 コミュニティインタビュー#4]

3月8日は、女性をエンパワーし、ジェンダー平等な社会を目指す「国際女性デー」です。

イベント・コミュニティプラットフォームであるピーティックスには、女性がいつでも自分らしい生き方を選択できる社会を推進するコミュニティがたくさんあります。

今年の国際女性デーのテーマは「Inspire Inclusion(インクルージョンを促進しよう)」。このテーマに沿って、女性が参加しやすい、包括的な社会を目指すコミュニティへインタビューを行いました。

今回ご紹介するのは、スリール株式会社代表取締役・堀江敦子(ほりえ あつこ)さん。

女性活躍や働き方改革の動きが進んでいますが、実は、出産を経験していない女性でも90%以上が仕事と子育ての両立に不安を抱えているのが現状です。
そんな中で、「家庭や仕事はこうあるべき」という固定観念を手放し、多様な生き方・働き方ができる社会であるために取り組まれていることを伺いました。


スリール株式会社代表取締役社長・堀江敦子(ほりえ あつこ)さん
「自分らしいワーク&ライフの実現」をテーマに、人材育成事業を展開。内閣府男女共同参画専門委員、厚労省イクメンプロジェクト、こども家庭庁有識者委員 など行政委員を多数経験。著書に『自分らしい働き方・育て方が見つかる 新・ワーママ入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。


ーー堀江さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします!早速ですが、会社の事業内容について教えてください。

大学生向けのライフキャリア教育の事業と、企業向けの女性活躍やダイバーシティに関するコンサルティングを行っています。

ライフキャリア教育の事業では、仕事と子育ての両立体験ができる「ワーク&ライフ・インターン」というプログラムを提供しています。大学生が仕事と子育てを両立している家庭を訪れ、リアルな働き方や子育ての経験を学び、将来のプライベートやキャリアについて考える機会を提供しています。創業当初から14年間続けているプログラムで、少子化対策として行政や大学にも導入されています。

個人の意識だけでは変えられないこともあるので、企業向けの事業では、組織の意識を変えていけるような研修やコンサルティングを行っています。2018年にコーポレートガバナンス・コードが変更され、上場企業が女性管理職比率を上げることが義務付けられたので、近年では企業からの需要も増えています。


ーー14年前は「ダイバーシティ」という言葉も浸透していなかったですよね。事業をスタートしたきっかけは何だったのでしょうか?

大きく2つあります。

1つは、中学時代から国内外でボランティアをしていたことです。
子どもや高齢者、障害のある方々と関わる中で、子育てや介護などがライフイベントとして当たり前にあるにも関わらず、それらをしながら働くことが難しい日本は生きづらいなと感じていました。どんな状況でも自分らしく生きていきたい、働きたいと思った時に、自分がその環境を作りたいという思いがありました。

もう1つは、新卒で入社した会社での経験です。
営業成績トップの女性でも結婚・出産後に時短勤務になり、それが理由で評価が下がる状況を目の当たりにしました。子育てへの理解が足りない環境ではこの先働き続けられない。「自分が変えなければ」と思いました。

打開しようと50人ぐらいの同期に声をかけてみたのですが、子育てをしていない今の状況では先のことなんて考えられないという人が多かったんです。数年後には同じ状況になるかもしれないにもかかわらず、当事者意識を持てないことが、マイノリティの意見が通らない理由なのだと実感しました。

当事者になる前の段階で仕事と子育ての両立を体験し、自身のライフキャリアについて考えることができれば、世の中が変わっていくのではないかと考えたのが、大学生向けのプログラムを始めたきっかけでした。


ーーさまざまな方の仕事や子育てのあり方を見てこられたことがきっかけだったんですね。プログラムに参加した大学生にはどんな変化があるのでしょうか?

プライベートを含めた大人の姿って、自分の親しか見たことがないじゃないですか。そうなると、 親の時代の生き方や働き方を踏襲しがちになってしまうんですよね。

親は一つのサンプルでしかないので、今の世代の大人たちがどんな風に働き、家庭を築いているのか、”生き方のサンプル”を増やしていくことによって人生の選択肢も広がると思います。

参加してくれた男の子がパパになって当たり前のように育休を取っていたりもします。「家庭はこうあるべき」といった固定観念にとらわれない生き方について考えられるようになることが一番大きな変化ですね。


ーー企業向けにも研修を実施されていますが、経営者や会社員の方にはどういった変化があるのでしょうか?

たとえば、研修では上司と子育て中の社員の立場を入れ替えるロールプレイングを行っています。そうすることで、相手の状況を想像できるようになるんです。

夜までメールやミーティングをする会社だとしても、子育て中の社員にとっては家事と育児でバタバタな時間帯だったりしますよね。会社での様子しか見えていなかったけれど、みんな生活がある上で働いているんだと知った時に、相手を立体的に捉えることができるようになります。

仕事ができる・できないだけで測っていたのが、相手を取り巻く状況をふまえてどう働きたいかを聞くようになったりと、ミーティングのあり方や部下へのヒアリングの仕方も変わります。自分とは異なる環境にいる人とどう関わるのかを、実際に体験しながら学べることが変化の理由かなと思います。

ワーク&ライフ・インターンでの、子育て体験プログラムの様子


ーープログラムや研修を受けることで、多様な生き方・働き方を想像できるようになるんですね。この記事を読んだ方が、今日からできる一歩としてはどんなことがあるのでしょうか?

いろいろな人の話を聞くのが一番だとは思いますが、いきなりは難しいですよね。

まずは、自分の固定観念を手放してみることが大切だと思います。たとえば、子育て中の方であれば「やりたいことがあるけど子どもがいるから難しいだろう」と、自分自身を縛っていて辛い思いをしていることもありますよね。

ビジョンワークというんですが、 3年後どうなっていたいかなど将来のビジョンを描いてみると、固定観念に気付くきっかけになるかなと思います。
また、女性への調査をまとめた「両立不安白書」にも掲載しているのですが、出産を経験していない女性でも92.7%が仕事と子育ての両立に不安を抱えているんです。 

両立に直面する前から諦めてしまう方もまだまだ多いですが、いろいろな選択肢があるし、みんな同じように悩んでいると知るだけで全然違うのかなと思います。もし悩んでいる方がいたら、 ぜひ読んでみてください。

(無料でダウンロードできます)


ーー女性たちが不安を抱える中で、社会全体が変わっていくためには何が必要だとお考えですか?

政治や経営の意思決定層に女性が3割以上入ることがまず最初かなと思います。コツコツやっていても、意思決定層が年長者の男性だけだとなにも変わらないんですよね。

東京都議会は、実は3割が女性。 小池さんが都知事になり女性議員が増えてから、4年で9割の待機児童が解消したり、被災地の避難所に生理用ナプキンが置かれたりと、女性と子どもに対しての視点が確実に変わっています。

それぞれが意識を変えていくことも大切ですが、結局は強い意志を持った当事者しか状況を変えられない。それは、女性だけではなく若い世代、外国人、さまざまな問題に共通することだと思います。


ーー2024 年国際女性デーのテーマは「Inspire Inclusion(インクルージョンを促進しよう)」ですが、女性が参加しやすい包括的な会社であるために意識されていることはありますか?

弊社の社員は女性がほとんどですが、働き方はかなり多様です。海外や東京以外に住んでいたり、業務委託の方もいたり、いろいろな状況の人が関わっています。

そんな中で、お互いに本音で語り合える環境であるかどうかはとても意識していますね。ミーティングの最初にプライベートのことを話したり、半年に1回合宿を行ったりと、お互いを理解して同じ方向に進めるような機会を作るようにしています。


ーー国際女性デーを迎えるにあたり、堀江さんから女性たちへのエールや応援メッセージをお願いできますか?

「女性活躍」というと「なんで女性ばかり」と言われることもありますが、堂々と声をあげてほしいです。人口の半分もいるはずなのに、意見が通っていない現状があります。

女性はマイノリティの中のマジョリティなんです。日本のダイバーシティ推進は諸外国と比べて遅れていて、女性の管理職比率も低いし、会社の中でLGBTQの話題も出ない。

女性だけでなく、ハンディキャップがある方、外国人の方、性的マイノリティの方など、生きづらさを感じてる人が他にもたくさんいることを考えると、女性の活躍は多様な人たちが自分らしく生きていくための第一歩になります。

だからこそ、自分の意見を伝えたり、意思決定をする側に回ったり、どんどん行動してほしいなと思います。


ーー堀江さん、ありがとうございました!


堀江さんが代表を務めるスリール株式会社主催のオンラインウェビナーが、3月21日に開催されます。
結婚/妊娠/育児などのライフイベントと仕事の両立について、社会、企業、そして次世代である当事者の視点で考えるイベントです。
ご興味のある方はぜひご参加ください!


スリール株式会社
ピーティックスページ:https://sourire.peatix.com/ 
ウェブサイト:https://sourire-heart.com/ 



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